原口元気選手

 昨日のイラク戦でも活躍してくれて、代表中核の位置も見えてきた。プレスバックのために駆け戻ってボール奪取に関与して、そこから休まず駆け上がってゴール前、しかもニアポジションに顔を出す献身性と運動量、高い意識が生み出したゴールといってよく、一連の流れは、ユース選手に見せてお手本にしてもいいくらいのものだと思う。その後も守備面では左サイドに蓋をし続け、攻撃面では好クロスやドリブルからのFK獲得など、原口選手らしさを出して躍動し続けてくれたと思う。
 原口選手の大ファンではあるが、組み立てへの参加なんかはあまり上手ではないな、とみているので左サイドからの仕掛けをチーム全体で有効に使えるように、原口選手もそのための動きをよりスムーズにできるようになるとかなりの武器になってくるはずだ。

 ロンドン五輪に出られなかったが、見渡せば同世代の五輪出場組で確固たる地位を築いているのは清武選手、両酒井くらいか。酒井高選手にしても五輪では重用されたとは言い難い。五輪信奉の強い日本では割をくっている感はあるが、注目され始めたのは今後の下の世代にとってもよいことだと思う。最近は海外組の不振もあってか「斎藤選手を呼べ」との声が結構あり、理解はできるが、ロンドン、ブラジルと斎藤選手と比較されて落選した、と感じているファンの立場からすると「まず海外で結果だしてからね」と思う。Jでの結果なら、ロンドン、ブラジル時も原口選手が上回っていたわけだし。

 原口選手びいきではあるが、出番が増えてきたのはハリル監督の指向するサッカーだから、という面も確かにあると思う。最近やっとわかりかけてきたような気がするが、縦に早くボールを出して「あとは2、3人、多くても4人くらいで手数かけずにシュートまで持ち込もう」というのがハリル監督のやろうとしていることだ。引いて守ってのカウンターとも、ボール保持からの崩しとも違い、一時期のドルトムントのサッカーとも異なる。うまく表現はできないが「中堅国のいいサッカー」なのだと感じる。割に当たり前のサッカーだとも思うが、振り返ると代表でこういうサッカーをやっていた時期はほとんどなかったように思う。ザック監督が一時期やろうとしていたけれど、いつの間にかなくなってしまったし。こういうサッカーだと、チャンス自体が増大するというわけではないので、アジア相手に大量点というわけにもいかない。ただ個人への比重をすこし重くしていく「中堅国の当たり前」のサッカーも身に着けておかないと、いつまでも「ポゼッションがカウンターか」の不毛な議論を繰り返すことになってしまうので、苦しい局面を迎えているのは確かだが、必要なことなのだと思うようになった。

日本代表と育成と

  ひさびさにMIOを少し離れて。

  ヘルタの原口選手好きなので代表の試合もみるが、最終予選2試合を終えて一勝一敗という結果なので、メディアで目にする「危機感」は20年以上前にサッカーを見始めてから初めてかも、というくらいすさまじいものがある。仏W杯予選でも当然危機感報道はなされていたが、代表の力との相対関係でいうと、やはり今回が最大級のものではないか、と感じる。
  わからないではないし、こういう報道があるほうが健全ではある。それでも、時としてちょっとやり過ぎかな、とも思う。例えば「UAEが普通に強かった」という評がある。もちろん弱くはなかったし、日本のつまらないミスがあった。しかし、あの試合の日本とUAEの祖試合内容を取り換えて日本が勝ったのなら、メディアは日本を評価するだろうか?「相手に助けられた運の勝利」「内容では圧倒されていた」というのがせいぜいだと思う。タイ戦では「ゲームコントロールが拙かった」という評論を見た。その通りだと思う。リードしてるんだから、後ろでタラタラ回して時間使って、相手がじれて来たら得点を狙えばいい、と思う。しかし、そうしていたら「得点してからペースが落ちた」と評してきたのが、専門誌も含めてこれまでの日本のメディアだ。長年にわたって、これどう考えてもただのTMだろう、という程度の親善試合にもことあるごとに細かい注文をつけているのだから。選手もチームも「すべての時間帯で点を取れる試合をしないと批判される」という意識が刷り込まれてもおかしくはない。
  高い要求を突きつけるのは大事だけれど、スコア差=実力差ではないのだし、そのあたり特に専門誌やちゃんとしたライターさんがうまく伝えてほしい。見聞する限りでは、「指摘するべきところは指摘し、見極めることろは見極める」点で、日経新聞が一番バランスの取れた評論になっていると感じる。

  同時に湧き上がってくるのが「育成」問題。これも20年以上前からいろんな切り口から語られているテーマで、常に大きな命題としているのは日本サッカーのいいところだ。しかし、こちらも代表の不調と合わせて「失敗」だの「危機」といったヒステリックなワードが目立ってきたように感じる。こちらに関しては、大きな方針はともかくとして、いいすぎることで現場の指導者に対して失礼だったり、的外れな指摘になって、現場の意欲をそがないかな、という心配がある。この場合の育成は、小学校から高校年代を指すのだろうが、この年代は多感な頃でもあり、「一つのことを集中して聞いてもらう」「わかるようにしっかり伝える」だけでどれだけの根気、労力を必要とするのか、学校の先生なり、塾講師の経験者なり、保護者なりだとすぐにわかることだと思う。意識の高いサッカーエリートの子供たちだって、サッカー以外のいろんなことに関心があって、遊びたいのは当たり前。みんながみんな、海外や代表を目指しているとも限らない。そういう子を相手に「個の力で戦える」「戦術理解度を上げる」といった、ともすれば漠然とした大きな方針を、コーチングなり、練習メニューなりで具体的に現場に落とし込んで、意欲をもって継続させていくことがどれほど大変なのか、もう少し想像力を働かせたほうがよい。
  「サッカー批評」を読んでいたら、高校の指導者の方が「小中学生年代の指導者にもっと光を」という旨のことを言っておられた。現場をよく知っておられる人の発信だけに重みがあるし、「育成問題」を指摘しておけば、なにか鋭い切り口の特集ができたような気になっているサッカーメディアはよく考えてほしい。

リオ五輪代表

  遅まきながらリオ代表について。ひいきの関根選手が外れてしまって残念でしかたがないが、セレクトは監督さんの専権事項なので仕方がないし、関根選手個人に力がなくて外れた、というわけではないと思っている。五輪選外でもA代表に入っている選手はいるし、五輪選出がピーク、という選手もいる。ただ、ロンドン時の原口選手と合わせ、レッズのアタッカーは縁がないなあ、と、やや恨めしい気分にもなる。選ばれるかどうかはさておいて、もう少しチャンスを与えるなり、関根選手を生かすやり方の模索があってほしかったなあ、とファンとしては思ってしまうところだ。
  そもそも「Jで試合にでられない選手は呼ばない」はずだったと思うのだが、昨年からJ1上位でレギュラーを張っている選手がここまで冷遇されるケースもあまりないように思う。「スタミナが」「守備が」と言われることもあるが、今年もたいていの国のU-23以上であろう広州やソウル相手にしっかりやりあっているし、これらの試合にスタメンで出ていること自体、同世代では希少な経験を積んでいるあかしであろう。海外組を除けば、トップリーグにおけるアタッカー陣の実績で関根選手と比較できるのは浅野選手くらいではあるまいか。今季は今のところ昨季ほどの調子ではないのは確かだろうが、それでも試す価値は十分にあると思う。

 とつらつらファンの立場で書いてみたが、最終的にA代表入りする選手に育てば、五輪代表に入ろうが入るまいが、どうということもないのだし、目指しているのはA代表での活躍なのだろうから、レッズなり海外で成長していけばいい。

女子サッカー、終わりでも何でもない

  五輪は逃したが、予選最終戦、なでしこらしい点の取り方と粘りの守備で勝ったのはよかった。まさか、といえばまさかの敗退なので世間的な反響は大きい。批判も大きいが、考えてみれば、北京五輪4位、W杯優勝、ロンドン五輪銀、W杯2位という、はっきりいってとんでもない戦績を残してきたチームなのである。女子の場合、W杯と五輪はほ等価値ともいえることを考えると、男子に当てはめたら近年のドイツとか、ちょっと前のブラジルみたいなもんで、日本サッカーにおいてはどれだけ称賛されてもいい偉業だ。
  もちろん、スポーツなので試合内容への適切な批判、批評は絶対にあったほうがいい。前のW杯でサイクルを終えたチームだとは思うが、その認識と、その上で偉業をたたえる気持ちはなんら矛盾するものではない。このあたり、区別をつけていない報道などが散見しているように思われる。

  不遇の時代から一気に世界の頂点、という幸福なストーリーは、思えば「女子サッカーが生き残るためには結果を出し続けないと」という、選手、現場の悲痛なまでの叫びと表裏一体だったし、その響きは今も続いている。宮間選手の「女子サッカーを文化に」という発言もその響きの一つだといえる。
 今回の結果で早くも女子サッカーへの影響を心配する声が報道などであふれているし、宮間選手も相当に悲壮な表情でインタビューに応じている。 当然、影響はゼロではないだろう。ゼロではないだろうし、責任感の強い選手たちなので悲壮な思いを抱えてしまうのは仕方ない。ただ、もうそろそろ「結果が出なければ女子サッカーは続かない」という、重すぎる叫びを終わりにすべき時期にきている、と感じる。それは選手たちがどうこうするべき、という話ではなく、協会やファンが普及なり応援で重荷を分かち合っていく、ということだ。選手である以上、結果にこだわるのは当たり前なのだろうが、周りがそれにとらわれすぎると、かえって選手たちを追い詰めてしまう。代表戦とリーグ戦は違う、といわれればそうかもしれないが、勝ちチームがあればその隣には負けたチームがいる。極端な話、負けたチームは消滅しても仕方ないのか、なんの価値もないのか、といえばそんなことは全然なくて、そこで選手が一生懸命プレーし、サポーターが熱心に応援することで生まれる熱気やくやしさにも十分意義があると思う。重荷を分かち合っていく、と書いたが、本当はそうではなくて、楽しみをともにしていく、ということなのだろう。
 
 勝利の喜びはもちろん、負けのくやしさも選手だけでなく、いろんな人たちとかみしめながらサッカーをやっていく国のほうが、いかにW杯を取ろうと、一度出場を逃すとサッカーそのものが消滅してしまう、という国よりはいいと思うし、結果強くなると思う。宮間選手は一部では代表引退、とも言われている。真偽のほどは定かでないが、仮に引退するとしても、まだサッカーを続けるなら、やることは残っている。それは普段のリーグ戦で一生懸命に、楽しんでプレーする姿をサポーターに見せてくれることだ。待っている人はたくさんいるはず。そんな姿がある限り、女子サッカーは終わりでもなんでもない。どうしてもMIOばっかりで、なでしこLは1回しか行ったことないが、またいってみよう。

  

原口元気選手

  あまり書く機会はなかったが、Jリーグで好きなチームはレッズである。MIOを知るまでは一番好きなチームだったし、今でも2番目である。J創設時に住んでいたところの近くにJチームはなく、どこを応援しようかと思っていたところに、実家の車が代々三菱車であったことと、当時主力選手の福田正博さんのプレーや風貌がかっこよかったことで、TV観戦ではあるがレッズを応援しよう、と思った。とはいえ、最初の数年間は悲惨の一言だったが。福田さんが好きだった影響で代々スピード、ドリブラータイプの選手に目が行き、岡野、永井、田中達、長谷部(レッズ在籍時はスラローム系のドリブルも結構やっていた)が特にひいき選手だった。

 その流れで当然原口選手も好きになったのだが、初めてテレビでプレーを見たときは、「なにこの才能」とちょっとした驚きだった。強さとうまさ、スピードをを兼ね備えたドリブルはもちろんのこと、シュートレンジの広さと強さ、精度がこれまでの選手たちとは一味違う感じで、デビュー時からポジションをつかみつつあったというのも納得の能力。守備やスタミナ、戦術理解なんかに課題があったとはいえ、テクニックに似合わず?闘志を前面に出していくスタイルにすぐに惹かれてしまった。
 気性の激しさでいろいろと問題も起こしたようだが、ピッチ上ではひたすら勝利を希求するプレーで、大宮戦での倒れこみシュートや名古屋戦だったと思うが前からの守備でボールを奪ってそのまま決めたゴールが印象深い。ドリブルを徹底マークされるスタイルの割りには大きなけがもスランプもなく、フィジカル、守備への切り替えの遅さ、スタミナ、戦術理解の課題なども、少しずつではあるが着実に改善していって、ブラジルW杯の年にはJでも相当抜けた存在になっていたと思う。当然W杯メンバーに入ってほしかったが、こちらも当然入れるだろ、と思っていたロンドンと同様に落選してしまった。しかし、ドイツにいって、また着実にプレーを改善、適応させしっかりポジションをつかんで、ブンデスでも名を売ろうとする存在になっているのを見て、勝手に応援している見ながら、しみじみとうれしい。

 ロンドン、W杯とメンバーに入れず、レッズでもタイトルがなく、近い世代に宇佐美、武藤選手がおり、ブンデスでは香川選手が大スターなこともあってか、能力、実績のわりに今一つ世間の注目を浴びていない原口選手だが、振り返ってみれば、ロンドン世代で海外結果を残しつつある、という点では清武、武藤選手についで大迫選手あたりとならんでいるといっていいと思うし、高3の年齢から大きなけがなく、J1、ブンデスでほぼレギュラー(半年くらいの中断期間はあったが)でやれている、というのは、日本のサッカー選手全体を見渡しても、結構驚異的な戦績ではなかろうか。
 代表ではまだ本領を発揮できていないが、攻撃能力のわりにチームにしっかりと献身でき、かつフィジカルもあるのでW杯を戦う上で不可欠な選手だと思う。ブンデスでももっとゴールを奪い、代表でも活躍する姿を楽しみにしている。

 今のレッズでは当然関根選手びいき。J1年間勝ち点2位のチームで攻撃面で大きな働きをするレギュラーとしてバリバリやれているので、今年も調子よければリオ五輪代表に選出されて当然の能力だと思っている。守備がどうこうという指摘もあるが、清水戦や名古屋戦では大きな外国人選手や永井選手と渡り合っているし、今の五輪メンバーに劣るかというと全くそんなことはないと思っている。原口選手が出られなかった五輪に出て、Jでタイトルを残して海外に雄飛してほしい逸材だ。
プロフィール

蹴球四十雀

Author:蹴球四十雀
滋賀のサッカーJFLチーム「MIOびわこ滋賀」を心の底から応援しつつ、たまにフットサルで息を切らす。一方、書斎での濫読(純文ラノベ歴史ノンフィクション)や琵琶湖周辺の野山歩きもこたえられません!

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