代表強化に貢献するには?

 W杯本大会を目前にハリルホジッチ監督が解任となった。自分は、結果が出る、出ない、日本に合う合わないに関わらず、本大会でハリル監督のサッカーを経験しておくことが代表の今後に寄与する、と考えていたので解任は誤りと考えるが、その是非論はひとまず置いておきたい。

 代表監督の進退が騒がれるのは、ひとえにW杯の成績に関心が高いことの現れなのだが、強い代表を応援したい、観たいというのは観ている側の当たり前の欲求だ。そのために「日本サッカーが強くなるのに貢献したいな」という思いが兆すことは、ファン、サポーター、サッカー好きなら誰にでもあるのではないか。ささやかながら、自分にもある。

 とはいえ、市井の一個人でなにができるのか。ぱっと思いつくのは、自分が指導者になることだろう。経験がなくても近所の少年サッカーのお手伝いからでもいい。サッカーの魅力を伝え、大会なりをスムーズに進める助力になることで、子どもたちの可能性を広げることにつながろう。ただこれは少々敷居が高い。コーチはやはりそれなりの経験と知識、教育スキル、それがないならば取得する時間が必要でおいそれと「だれでも」とはいかない。
 運営という範囲ならば、どこかのクラブスタッフになるのもありだろう。ただしこちらも広き門ではない。ボランティアならば充分可能だし現実味は高い。
 
 次に思いつくのは「お金を落とす」こと。入場料、グッズはクラブの収入になり、選手獲得や運営に使われる。広く言えば「サッカーで食べていける人を増やす」ことになる。額の多寡はあるにせよ、集積されれば裾野を広げる効果がある。裾野が広がれば、頂点が高くなりやすいのはいうまでもない。直接クラブに入るのが目に見えやすいが、スポンサーの商品購買も含んでいいのかも知れない。これはある程度誰にでもできることだ。もちろん、万万が一大金持ちになったならばどこかのクラブのスポンサーに名乗りを上げたり、自らクラブを立ち上げるなりしたいところだ。

 お次は「発信」。これはさらにお手軽な方法だ。近所や学校、職場での会話とともにSNS隆盛のご時世、だれもが発信者になりえる。試合の感想などを通じてサッカーの魅力、楽しさを伝え増幅させることができる。戦術の分析や議論なんかもこれにあたるだろう。これだけでサッカーに直接関心がない人を引っ張り込むのは簡単ではないが、ある程度の数の人々が一定量以上の発信を行うことは、社会のなかで一定のプレゼンスを発揮することになる。日本のサッカーを見る目を肥やし、増やす。自然と他国と比較するまなざしも生まれてくるだろう。いささか迂遠ではあるが、そうした行動の蓄積でサッカーの文化的、社会的価値が高まれば、社会の関心や資金も集まりやすくなるはずだ。

 と、まじめに考えれば色々あるが、サッカーをやって、応援して、観て楽しいから好きなのだ。サッカー好きならばだれもがやっていることだが、難しく考えずサッカーやフットサルを満喫することも含めて、目の前のサッカーをめいっぱい楽しむことだろう。
 結局、よほど生活や人生のスタイルを変更する決意がないかぎり、一個人ができることは限られている。何事も一足飛びにはいかない。それでも、個々人がコツコツやってきたことが花開き、結実する例は、実は国内サッカーで結構経験されている。地域からスタートしてJ1に上がった松本山雅や長崎なんかが典型だし、ほかのクラブも多かれ少なかれ同様だ。
 「日本サッカーを強くしたい」という使命感のようなものに駆られ、ややもすると海外のトップクラブの事例や戦術を盾にするような識者も見受けられるが、現場に関わっているのでもなければ、本人が思っているほど影響力はない。
 足元のサッカーを楽しみ、充実させていけば、代表の結果にも自ずと反映される。今回の解任の顛末はともかく、そうしたサポーター、ファンがJリーグを筆頭に目の前のサッカーを楽しみながら支えていく限り、そう悪い方向にはいかない、と結構楽観的に考えている。

ある日の、いつもの試合を終えて

 日が傾きかけた芝の上に、タイムアップの笛が響いた。先ほどまで所狭しと駆け回っていた選手たちの動きが、突然緩慢になる。幕は下りた。スコアはもう動かない。勝利か、敗北か。歓喜か、落胆か。安堵か、いらだちか。いずれにせよ、ピッチが一瞬動きを止める。
 ゆっくりと列をつくり、握手を交わす選手たち。胸を張るチームと、肩を落とすチームが交差する。一方は足取り軽くスタンドに向かい、サポーターと凱歌をともにする。手を上げ、肩を組み飛び跳ねる。笑顔、笑顔。ピッチと客席を充実感がつなぐ。かたやうなだれてスタンドに向かい、がっくりとサポーターに頭を下げる。足取りは重く、疲労がにじむ。それでも拍手は起きる。ともにする敗北感はずっしりこたえるけれども、投げだそうとは思わない。

 勝利と敗北を抱えてピッチを後にする選手たちを見送り、さあ宴の後始末。横断幕のひもを解き、おりたたむ。いい試合でした。いいシュートだったね。今日は勝てましたよね。あと一歩なんですよね。次も勝ちたいですね。ほころぶ口元、にじむ悔しさ。どちらでも、頭はまだぼうっとしている。
 そろそろ手荷物をまとめよう。飲み物、タオルをしまい、ゴミはまとめて残さないように。もう終わった。見渡せばがらん、とした客席、ピッチの上でも片付けが進んでいる。名残惜しいけれど、もう出ないと。出口をくぐると、もう日が傾いていた。出店も店じまいを始めている。選手を待つサポーターの姿も、どことなしに静謐を漂わせている。すぐに帰るのもなんだか勿体なく、スマホで他会場の結果を検索してみたり。
 もう少しこの空間にいたい。さっきまであんなに高揚していたではないか。でも、そろそろ帰らないと。今日は、もう終わった。物事には終わりがあり、試合にも終わりがある。そして帰るところがある。
 駅に、駐車場に足を向ける。足取りは軽いのか、重いのか。さあ、帰ったら何を食べようか。今日の試合をどう話そうか。車に、電車に乗り込む。また来週、あるいは再来週。勝ち負けどちらが待っていようが、またここに戻ってくる。

ある日の、いつものスタジアム

 ある日は車を走らせ、またある日は駅を降りてしばらく歩くと、次第に大きくなるスタジアム。風は多少あるけれど天気は明朗、試合開始までまだ2時間近くあるとわかっていても、つい足が早まる。その前に近くのコンビニで食事やおやつを買い込まないと。今日はどれにするか、迷いつつも「早く決めんと席なくなる」とせき立てられるかのよう。暑い日は飲み物を多めに、寒い日はホットドリンクにあうチョコや和菓子に手が伸びる。会計も慌ただしく店を出る。
 急ごう。入場口の広場が見えた。チームカラーののぼりが林立し、かすかにBGMが流れている。たこ焼きややきそばの売店が賑やかしい。ユニホームにサポーターの姿があちこちに。急ぎ足でチケットを買う。いよいとゲートをくぐると、眼前に広がる緑のじゅうたん。背景には早春ならば頂に雪をかぶせ、晩秋ならばオレンジに色づいた山々が連なっている。さすがに席は空いている。いつもの「指定席」に腰を降ろすと、ようやく安堵に包まれる。
 マーカーが点在するピッチに目を向けると、スタッフがゴールや芝の状態を確かめている。今日もふかふかのいい芝だ。選手が出てくるにはまだ間がある。食事を済ませよう。手早く口に運ぶ食事はおいしいのだけれど、やはりまだそわそわした感じが残っている。そうこうしているうちに、選手がちらほら姿を現す。相手チームも登場し、いくつものボールがピッチを飛び交う。ぴたっととまるトラップ。やっぱりうまいなあ。見とれているうちに、もうアップ終了のアナウンス。 さあ、近づいてきた。派手な音楽に乗ってスタメン紹介の声が響く。拍手と歓声。気づけば席は結構埋まっている。顔なじみの人たちにほっとし、なぜだか心強くなる。もうすぐ選手入場。よし、もう立ち上がって歌おう。少しの緊張とこわばりと気恥ずかしさと、でも声をだすとすべて吹き飛ぶほど、いつのまにか高揚している。いや、朝起きたときから昂ぶっていたのか。鮮烈な緑の上に、選手たちが威風堂々として見える。さあ今日も大好きなサッカーが始まる。

W杯出場決定

 2-0で6回目のW杯を決めた。

 TV観戦していたが、基本的に前回アウエー対戦と似たような構図だったといえよう。ボールを回す豪州に対し、前から行くところは行き、引くところはしっかり2列のラインを敷いて守る戦術を見事に遂行していた。もちろん相手も豪州なのでピンチはあったが、いずれも偶発的なもので、守備のやり方や組織が破綻していた訳ではない。特にいいな、と感じたのは井手口選手。球際の強さと出足のよさ、粘り強い絡みつきで、長友選手とともに左サイドをよく守り抜いた。乾選手の運動量が落ち、ケーヒル選手が入ってきてからは、左サイドが起点にされていたが耐え抜き、原口選手が投入されると「鉄壁」といってもいいほどになったと感じた。
 右サイドも酒井選手が頑張っていたのに加え、浅野選手の奮闘もたたえたい。初めは右サイドでボールを持っても少し迷い気味だったが、前半の早いうちに一度縦に仕掛けたことで吹っ切れたのか、攻撃では少々のロストがあっても突っ込んでいき、守備でもトラップを狙って襲いかかっていた。一連の動きで豪州の左サイドが明らかに上がれなくなり、右サイドからの攻略を防ぐことに大いに貢献したと思う。

 攻撃では大迫、乾選手とも存分に持ち味を発揮した。大迫選手はさすがの貫禄、豪州クラスのDFでは歯立たないポストぶりで、得点こそないが、貢献度は絶大だった。乾選手も、縦に仕掛けていくドリブルで明らかに嫌がられていた。浅野選手もそうだが、ラインを割っても、縦に強引に仕掛けていくからこそ豪州DFに重圧を与えられたのだろうし、こういう試合では特に重要なプレーだと思う。

 一番瞠目した井手口選手に関しては、Jでは何試合か観たので能力は知っているつもりだったが、この大舞台でこれほどの存在感を放つとは言葉がない。守備はいうまでもないが、攻撃面でも徐々に存在感を出し、後半などはサイドチェンジや浅野選手への絶妙のパスなど攻撃でもゲームを掌握していた。ガンバの遠藤選手が「怪物」と評したそうだが、試合中にまさに「怪物」が目を覚ましていくのを観ているような恐ろしささえ感じた。得点の素晴らしさははいうまでもないが、得点がなかったとしてもその印象は揺らぐものではない。動けて、守備が強くてパスも出せて、点もとれる、しかも21歳でこの大舞台で仕事をやってのける、とんでもない才能だと思うし、中盤の序列の最上位に一気にのし上がるだけの働きだった。

 何だかんだ言われながら、初戦を落としながらも1試合を残しての本大会決定は賞賛されるべき結果だ。しかも内容、メンバーともに変更、底上げしながらなので相当な値打ちものの最終予選だった。相手に合わせてメンバーややり方を柔軟に変えつつ、一定のクオリティーを保つ、という点では代表史上でも相当に画期的な期間だったといえる。
 もちろん、本選になんの保証をもたらすものではないが、少なくとも代表のサッカーの「幅」が大きく広がり、武器になっていきそうなのは間違いない。 

関西リーグ

 アクセスしやすい西京極で関西リーグがあり、かつ時間もあったので出かけてみた。2部のラランジャVSディアブロッサ目当てで足を運んだが、着いたら1部のアルテリーヴォVSレイジェンドの最終盤で、2試合開催だったと知った。

 レイジェンドの試合に関しては、それまでのスコアや暑さなどからか、アルテが一方的に押し込んでいて、レイジェンドは完全に足が止まっていた印象を受けた。ボールを奪っても、吉田選手以外に前へ出る推進力がないように見えた。まあ2年前の天皇杯で感じたが、アルテは普通に強いので仕方なし、だろう。2部降格もあり得る状況のようだが、まだ試合は残っているのでどうなることか。

 ラランジャのゲームは、ほぼ2バックでサイドに人を張らせ、ショートパスで攻め込むラランジャが、終始主導権を握っていた。ディアブロッサは見事なミドル2本でうち1本が決まったが、裏を返せばそれくらいしか得点機はなかった印象だ。ラランジャは、サイドと中のパスの出し入れのリズムが素晴らしく、2-1のスコアだったが5点とってもおかしくない出来映えだったと感じた。

 地域リーグ観戦は久しぶりなので、応援なども気になったが、アルテは結構な数の声出し応援団で、レイジェンドはほぼなし。ラランジャ、ディアはそれぞれ1、2人、というところか。と書いたが、別に声出しサポーターの人数の多寡が大事なのではなく、それぞれに懸命に応援されておられて「いい感じ」だった。
 またラランジャはスクールのお子さん、保護者が多数来場していた。試合直前の緊迫したアップやHTの出入り時に、最前列から子供たちが「コーチ今日でえへんの?」「えっコーチってキーパーちゃうかったん?」と無邪気に声をかけ、選手も「おれキーパーちゃうわ」などと応えている光景はなかなか新鮮だった。
 Jはもちろん、JFLでもなかなかこうはいかないだろうし、できる雰囲気ではないだろうが、地域リーグならこれもあり。むしろこういうムードこそ「地域密着」には大切なのかな、と感じた。いつも教えてもらっているコーチのお兄ちゃんのプレーに熱狂して、声援を送って、という姿は応援の原点ともいえる。声出しがどう、サポーターの人数がどう、というよりも大事なものを感じたし、こういう光景が広がっていけば、サッカーは本当に地域に、日本に根付くんじゃないかと思う。
プロフィール

蹴球四十雀

Author:蹴球四十雀
滋賀のサッカーJFLチーム「MIOびわこ滋賀」を心の底から応援しつつ、たまにフットサルで息を切らす。一方、書斎での濫読(純文ラノベ歴史ノンフィクション)や琵琶湖周辺の野山歩きもこたえられません!

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