筋トレ論花盛り

 近ごろネットで流行るもの-。自分の関心事に引っかかっているだけだろうが「サッカー筋トレ論」がその一つ。「サッカーにももっと筋トレが必要」「今の筋トレのやり方(体幹中心)は間違い」「サッカーの筋トレは遅れている」が主な論調だ。天皇杯でのいわきFC、筑波大などの躍進も記事の論拠や読者の賛同を強くしているようだ。

 私はもちろん、筋トレ理論にそれほど詳しくない。学生時代に部活で顧問教師の指導のもとにやっていたが、体質なのか競技特性なのかやり方がいまいちだったのか、それほど筋肥大はしなかった。しかし筋力自体はそれなりに付いて動きの力強さが増したのは体感でき、やってよかったと思っている。サッカーに必要な筋肉なら付けた方がいいに決まっているし、最新のよい理論があるなら導入が進んでほしい。 
 ただ、先日「サッカーしか」で書いたのと同様、論じられ方が気になってしょうがない。筆者や賛同者が理論の優位性を示そうとするあまり「現場へのダメ出し」に終始するように見受けられるからだ。そもそも記事がどのレベル(Jクラブなのかトップレベルユースなのか、普通の中高部活なのか)を多念頭に置いているか明確にしていないのでなんとも言い様がないが「サッカーの指導者にすべてを求める」姿勢は一見正しいようで、その実かなり無理がある。サッカーの技術、戦術指導(こちらも最新でないと「遅れてる」といわれちゃう)と「最新の筋トレ理論」を兼ね備えている人がどれだけいるか、一人で兼ね備えるのがどれほど大変なことか。指導者業でしっかり食べていける人にならともかく、中高の部活レベルの先生に求めちゃいますか?理論持っていないからといってダメ出ししちゃいますか?手弁当に近い状態でやっている指導者にダメ出しして、やる気をそぐことが必要なのだろうか?
 
 食べていけるトップレベルの指導者だって(だからこそ)分業化している。だからフィジカルコーチがいるわけだし、存在意義もある。ダメ出ししている「筋トレ理論」の筆者がサッカーなど競技ごとの最新戦術や技術の指導法を持っているだろうか。持っていないからと言ってダメ出しされるいわれはなく、逆もまた然りだ。フィジカルはどのスポーツをやるにしても必要な基礎部分なのでどの分野にも口を出しやすいが、その競技そのものを指導できるわけではない。また必要なのは「サッカーの実力を伸ばすこと」であって、そのために筋力は必要不可欠だが充分条件ではない。最新理論の筋トレを「させること」ですべて解決できるかのような賛同には危惧も覚える。

 フィジカルが足らないのは事実としても、本当に改善したいのならば「こんな選手にはこんなメニューが効果的」「本格的なジムがなくてもこういうメニューもあります」と提示したり、自ら指導にあたって効果を実証していけばいい話だ。「遅れている」とくさして自らの優位性を誇示したところで何も変わりはしないし、単なる自己満足だろう。
 この手の話は、よくラグビーが引き合いに出されて食傷気味でもある。ラグビーのフィジカルとタフネスは、もちろん見習うべきところが多いし見習ってほしい。ただ競技特性もある。ラグビーにはラグビーの、サッカーにはサッカーのフィジカルがあるのもまた事実だ。一昨年のラグビーW杯決勝では最後にNZがターンオーバーしてそのままトライに持ち込むシーンがあった。トライする側も追いかける側も迫力のランだったのは間違いないが、その選手のポジションもあるにせよ、サッカーのW杯レベルに比べると明らかに「遅いな」と感じた。これはラグビーを貶めているわけでなく、競技特性だ。あの中に、たとえばスピードあるクリロナがいても何ができるのか、という話だし、逆もまた同じである。他競技のよいところは積極的に取り入れるべきだが、貶めるための材料に使う必要はない。 
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蹴球四十雀

Author:蹴球四十雀
滋賀のサッカーJFLチーム「MIOびわこ滋賀」を心の底から応援しつつ、たまにフットサルで息を切らす。一方、書斎での濫読(純文ラノベ歴史ノンフィクション)や琵琶湖周辺の野山歩きもこたえられません!

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