楽園

 「楽園」(宮部みゆき・文春文庫)

 前作「模倣犯」に続き、フリーライター前畑滋子が主人公。交通事故死した子どもが残した「ありえない絵」から、娘を殺害して16年間埋めていた家族が抱える闇に迫っていく。

 前作に比べると主人公に嫌みな臭いがなかったので、読みやすかった。今回の悪人役は前作のピースに比べると小物ではあるが、世間を意識できないまま大人になっていった男の怖さや厄介さみたいなものは伝わってきた。死亡した少年の超能力はありとして、前作の舞台となった山荘の絵は、どこでだれと接触した結果描けたものなのかが不明なままだな。

 作者は相変わらず善良な市井の人々を描かせると、うまいなあ。萩谷敏子のような人がいるかどうかは別としても、引きつけられずにはいられない。「まっとうであること」が作者の理想像でもあるのだろうし、その対極にあるピースなどの不気味さが引き立つともいえる。ただ「火車」の犯人を超えるものはなかなか出てこないだろうが。
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蹴球四十雀

Author:蹴球四十雀
滋賀のサッカーJFLチーム「MIOびわこ滋賀」を心の底から応援しつつ、たまにフットサルで息を切らす。一方、書斎での濫読(純文ラノベ歴史ノンフィクション)や琵琶湖周辺の野山歩きもこたえられません!

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