山県有朋

PA150169.jpg
 「陰険、悪辣、老獪」とあまりいいイメージのない山県の立身の過程を手紙などの1次史料を使いながら丹念に追いかけ、人間山県に迫る一冊。生真面目で不器用ながら、一つ一つ階段をあがり、元勲にまで上り詰めた様子がよくわかる。良く解釈しすぎかな、という面もあるが、洞察力や国際感覚など山県の限界もきちんと捉えていて、公平な姿勢ではないかな。

 大学生以来、ずっと山県が気になっていて、岩波の山県本に続いてこの本を手にした。自分も山県のイメージは陰険な権力欲にあふれた老害ジジイ、というものだったが、萩に旅行に行った際、山県の生家あたりに足を伸ばした。川のそばの小さな家がひしめいているような場所。決して裕福ではなさそうだった。時刻は夕方。その場所から萩城を見やると、真っ赤な夕日が城にかかり、まさに息を呑む光景だった。少年山県は、毎日この風景を見ていたのだろう。どんな思いだったのだろうか。「えらくなりたい」と思ったのかもしれない。それ以来、山県がずっと気になっている。
 奇兵隊でも命がけで活躍しており、今の政治家が「命がけで」などというのとはわけが違う修羅場をくぐっている。教科書か何かで鹿鳴館のパーティーで西洋人を前に、山県が甲冑姿で槍を披露したというエピソードを「時代遅れの必死な日本人の象徴」のようにおもしろおかしく扱っていたが、あの風景をみた自分には、山県を笑うことなど、とてもできないのだ。
 
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

蹴球四十雀

Author:蹴球四十雀
滋賀のサッカーJFLチーム「MIOびわこ滋賀」を心の底から応援しつつ、たまにフットサルで息を切らす。一方、書斎での濫読(純文ラノベ歴史ノンフィクション)や琵琶湖周辺の野山歩きもこたえられません!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード